ウォータールー大学ってどんな所?

Towaki Takikawa
11 min readApr 26, 2019
Institute for Quantum Computing

こんにちは、@yongyuanxiです。

学部留学を考えている情報科学・工学系の学生向けにウォータールー大学とCo-op制度を紹介したいと思います。社会人の方も、ウォータールー大学からのCo-op採用をご検討ください!

ウォータールー大学の主な特徴:

  • 1957年設立の理工系に長けた大学。比較的に若い大学なので、まだまだキャンパスは成長中で、最近では自動運転の研究施設、大型スポーツ施設、また電車の駅等が作られました。
  • 日本の知名度は低いものの、北米のテクノロジー界隈ではかなり有名な大学です。メディアでは”北のMIT”などと取り上げられたり、スタンフォードと並ぶシリコンバレーの人材宝庫と称されたりします。
  • 数学・情報オリンピック等の上位者が沢山います。ACM-PutnamACM-ICPC等でもそれなりの強豪校です。学部生のうちからトップ国際学会に論文を通している人も沢山いたりします。
  • また、理数学系の強い学生以外にも在学中に4ヶ月間の有給インターンを6回経験するCo-opカリキュラムがある為、キャリア志向の学生が集まる趣向にあります。就職にはかなり有利な大学です。
  • 入学難易度はカナダ国内トップで、特にソフトウェア工学・生物医療工学・情報科学は最難関です。合格者の平均GPAは98/100くらいらしいです。最近はウォータールーは落ちたけどスタンフォードは受かったなんて話もたまに聞いたりします。
  • 学部生の強さに比べると大学院はコンピュータサイエンス・数学・物理など以外の研究分野では弱めです。

ウォータールー大学の一番の見どころであるCo-opカリキュラムに関して詳しく解説しようと思います。

Co-opはいわゆる長期有給インターンシップの事で、ウォータールーのCo-op学生は卒業するために4ヶ月間の有給インターンシップを6回経験する必要があります。

ウォータールーの学生は入学直後、4・8ヶ月間大学で勉強したあとに初めてのインターンシップに参加します。その後は4ヶ月ごとに大学の勉強とインターンシップを切り替え、このローテーションを5年間続けます。

結果として、ウォータールー卒の人間は必然的に皆トータルで24ヶ月間のフルタイムの就業経験を持つことになります。これは非常に就職に有利といえるでしょう。殆ど中途採用みたいな感じですね。

Davis Centre (Computer Science)

このCo-op制度の強みは大きく分けて四つあります:

1・色々な職種・職場・ロケーションを経験出来る。

ウォータールーの学生は卒業前に6つ違う職種・職場・ロケーションを経験することができます。学生の間に具体的にやりたい職種・業界などを実際に経験すること無しに把握するのは非常に困難なので、これは学生にとって非常に大きなメリットです。

カナダ・アメリカは広く、都市ごとに大きな違いがあるので、例えばニューヨーク・ボストン・シアトル・ベイエリア・シカゴ・トロントなど、情報系の学生にとってメジャーな就職先である都市に実際に住んでみる経験は他では得難いものです。また、外国で働いてみる学生も多く、自分の友人達もノルウェー・メキシコ・日本・中国・シンガポール・ドイツなど様々な国や文化園でインターンシップをしています。

職種の多様性もかなりあります。情報系の学生なら、トロントのスタートアップでウェブ開発をしてみたり、ベイエリアの大企業でインフラ開発をしたり、ボストンの大学で物理学研究をしたり、ニューヨークで投資銀行のアナリストとして働いたり、ロサンゼルスでLeague of Legends等のゲーム開発をしたり、東京マイクロソフトでプロダクトマネージャーになったりと、多様な経験を積むことができます。

就職に強い・ネットワークが広い。

このCo-op制度の結果として、4ヶ月ごとに大勢の何千人の単位のウォータールー学生がインターンシップを探します。これはかなり大規模な取り組みなため、学生のインターン就活を支援するシステムとしてWaterlooWorksが存在します。WaterlooWorksはある種のマッチングシステムで、履歴書・Co-op記録・成績表をアップロードして仕事に申し込みます。その後、書類選考を通る学生は面接に進み、面接の合否でオファーを貰います。

もちろん外部から仕事を見つけてきても良く、その場合はウォータールー大学側がその外部の就職先の会社にWaterlooWorksでリクルートするべきだと勧誘し、ネットワークを拡大していきます。

結果として、WaterlooWorks上では凄まじい数の企業が求人を出しています。他の大学の学生と比べると、実務経験があるので企業側としても雇いやすいらしいです。Facebook, Apple, Google, Microsoft, Amazonなどのメジャーな大企業はもちろん、Lyft, Uber, Airbnb, Jane Street, Tesla, Citadel, Two Sigma, Twitter, Oracle, Salesforce, NVIDIA, Qualcomm, Intel, AMD, Goldman Sachs, McKinseyなど魅力的な企業が数多く揃っています。

日本からもマイクロソフト東京、エヌエヌ生命保険、楽天、TeamLab、Curvegrid, SGI Bits, Barclays Tokyoあたりが採用しています。もっと日本企業が増えて欲しいですね。日本で働いてみたいと考えているウォータールー学生は案外多いので、是非求人してください!強い学生、紹介しますよ!

ついでに、ウォータールー大学は生徒が多いので、メジャーな都市に行けばどこもかなりの数のウォータールーインターンがいて友達やコネも作りやすいです。

Waterloo Software Engineering, Class of 2018のインターン先(https://classprofile.andyzhang.net/

稼げる。

ウォータールー大学の学費は北米では安いほうですが、それでも日本の大学よりは高いです。学部にもよりますが日本人の場合、学費は一年で3万カナダドル(約240万円)以上です。そのかわり、優秀な人はCo-op制度のおかげでかなり稼げるので案外元が取れたりします。

アメリカのインターンの給料は全般的に高いです。シリコンバレーの大企業はどこも軽く月に8000USドル(約90万円)以上もらえて、その上住居や引越し費用も提供してくれたりします。時給だと45USドル(約5千円)くらいですね。業界によっては(高頻度株式取引(HFT)・自動運転等)、月に12000USドル(約130万円)まで行ったりします。

カナダ国籍を持っていると学費が安いので、Co-op収入で学費も生活費も自分で工面している学生がかなりいます。

もちろん、最初からたくさん稼げるという訳ではないです(中には一回生から高給の大企業からオファーを貰う人もいますが…)。殆どの一回生・二回生の学生はウォータールー・トロントの中小企業で働きます。カナダは賃金相場が(比較的)低く平均時給は20カナダドル(約1600円)くらいです。大抵は4、5回目のCo-opまでには給料の高いインターン先を見つける事が出来ます。そのまま4、5回目のCo-op先が卒業後の就職先になったりするので狙い目ですね!

4・精神的に強くなれる。

ウォータールー大学は辛い大学です。4ヶ月間の学期の間に、授業を五つ(20時間)ほど取ります。その上、更に仕事を探さないといけないので、中間試験期間中に面接が毎日あることもあります(逆に面接が無くて焦る場合もあります)。カナダはとてもとても寒いので冬は憂鬱になります。

更に、Co-opで4ヶ月ごとに引っ越さないといけないので孤独を感じる学生も多いそうです。周りに凄く強い人が多かったりして劣等感に苛まれる人もいます。でも、何十回という面接を受けて、毎学期就職活動して、頻繁に引っ越したりアパート探したりという生活をしていると、何かと成長するのじゃないでしょうか。少なくとも自分はかなり成長したと思います。

Dana Porter Library

Co-op制度や就職の事をかなり説明しましたが、後はCo-op制度の他のウォータールー大学の魅力を語っていこうと思います。

1・とても人種多様。

ウォータールー大学に出身者が多いトロントはとても人種多様な都市で、人口の半分以上がカナダ外で生まれています。それに加え、ウォータールー大学には留学生がとても多いです(特に中国・インド。日本人はほぼいません)。自分はアメリカのオレゴン州の白人ばかりの片田舎で生まれ育ったのでウォータールー大学の多様性はとても新鮮でした。

2・強い人が多い。

ウォータールー大学は情報科学と数学がとても強い大学です。ウォータールー大学は国際数学オリンピックや国際情報オリンピックなどの国際コンテストで結果を残している人には潤沢な奨学金を出しているので、全世界から最強人間が集まってきます。

そういった人たち向けのAdvanced / Enrichedと呼ばれる別枠の授業があって、そちらでは一回生から微分積分・線型代数学・確率論・統計論などの授業をもっと純粋数学的な観点からやったりします。Real Analysis, Functional Analysis, Topology, Measure Theory, そんな感じですね。研究の道に進みたい人におすすめです。情報科学の方のAdvanced / Enrichedの授業も面白く、そちらではPurely Functional Data StructuresだのScala CompilerだのC++ Template MetaprogrammingだのModel Theoryなど一見役には立たないかもしれないけど面白い事を学びます。でも強い人たちは案外、情報科学にうんざりして純粋数学またはうちの大学の特色たるCombinatorics and Optimization(組み合わせと最適化数学)またはQuantum Computation Theoryに転学(?)する印象を受けます。

3・Redditコミュニティが熱い。

Redditはアメリカで人気のオンライン掲示板です。ウォータールー大学の”サブレディット”はRedditで一番大きい大学コミュニティで、情報収集・雑談・就職アドバイス・授業アドバイスなどに便利です。/r/uwaterlooはウォータールー大学文化の中心です。実は自分も/r/uwaterlooでこの大学の事を知りました。

他にも色々良いところはありますが別に他の大学と比べて特筆するほどじゃないので省略します。

Engineering 5
Sedra Design Centre (Engineering 5)

そんなこんなでウォータールー大学の紹介でした。将来、海外でキャリアを築いていきたい情報系の学生にはこれ以上無いくらいおすすめな大学です。

ちなみに、ウォータールー大学から採用したい場合は本当に紹介するので連絡ください。

連絡先: tovacinni あっと gmail どっと com

Special thanks to Shu Nakamura for reviewing & editing my broken Japanese!

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